岩明均 『寄生獣』 映画の公開前に漫画を読み返してみた
2014.11.24 01:54|漫画|
言わずと知れた名作漫画ですが、映画化されることになったため再読してみました。
実は映画版『寄生獣』は、試写会にて既に鑑賞しました。詳細な情報を知らなかったのですが、今月末から公開される映画は第1部で、完結篇は来年4月に公開予定とのことです。

漫画の冒頭はこんなふうに始まります。
このナレーションに合わせて寄生生物である何ものかが活動を開始するわけですが、漫画では宇宙から見た地球が描かれているために、寄生生物(パラサイト)が宇宙から飛来したようにも感じられます(実はそうとも言えないようですが)。
映画版ではこの部分が海から始まっており、寄生生物は地球のなかから生じたことがより明白になっていました。また、漫画版のナレーションは登場人物の声ではなく、誰とは特定できない話者(作者そのものかもしれません)の声となっていますが、映画版では深津絵里演じる田宮良子の声となっていました。

以前にこの漫画を読んだときも、このナレーションの位置を何となく不思議に感じていたのですが、映画版の前篇を観た後に読み返すと、それが地球そのものの声のようにも感じられました。寄生生物は人間に寄生し、その脳を喰い身体を乗っ取ってしまい、さらにその餌として人間を捕食するという、人間にとっては恐ろしい敵です。しかし、その寄生生物の存在によって、人間こそが“寄生獣”だと明らかになります(実際にそう言ったのは人間である市長ですが)。
人間が何に寄生しているかと言えば、地球という惑星です。人間は万物の霊長としてほかの動物や自然を支配していますが、その驕りは地球そのものを限りなく破壊するほどのものになっていっているわけで、地球というのが一個の生命体であるならば、人間はそれに寄生する厄介な敵となるわけで、そうした意味で冒頭の言葉は地球そのものが発した言葉としても感じられたわけです。寄生生物が地球の内部から生じるのも、増えすぎた人間を間引きするための地球の意思のようにも映るわけです。
とは言うものの、その寄生生物であるミギーは「わたしは恥ずかしげもなく「地球のために」という人間がきらいだ……なぜなら地球ははじめから笑いもしなければ泣きもしないからな」と語っていますから、地球の安易な擬人化を否定しているようにも感じられますから、そんなに単純なものでもないのかもしれません。
どちらにしても何度読んでも色々と考えさせるところのある漫画であることは間違いないと思いますし、映画版の完結篇ではどんな『寄生獣』を見せてくれるのかが今から楽しみでもあります。
実は映画版『寄生獣』は、試写会にて既に鑑賞しました。詳細な情報を知らなかったのですが、今月末から公開される映画は第1部で、完結篇は来年4月に公開予定とのことです。
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漫画の冒頭はこんなふうに始まります。
地球上の誰かがふと思った
『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』
地球上の誰かがふと思った
『人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるだろうか……』
誰かがふと思った
『生物(みんな)の未来を守らねば……』
このナレーションに合わせて寄生生物である何ものかが活動を開始するわけですが、漫画では宇宙から見た地球が描かれているために、寄生生物(パラサイト)が宇宙から飛来したようにも感じられます(実はそうとも言えないようですが)。
映画版ではこの部分が海から始まっており、寄生生物は地球のなかから生じたことがより明白になっていました。また、漫画版のナレーションは登場人物の声ではなく、誰とは特定できない話者(作者そのものかもしれません)の声となっていますが、映画版では深津絵里演じる田宮良子の声となっていました。

以前にこの漫画を読んだときも、このナレーションの位置を何となく不思議に感じていたのですが、映画版の前篇を観た後に読み返すと、それが地球そのものの声のようにも感じられました。寄生生物は人間に寄生し、その脳を喰い身体を乗っ取ってしまい、さらにその餌として人間を捕食するという、人間にとっては恐ろしい敵です。しかし、その寄生生物の存在によって、人間こそが“寄生獣”だと明らかになります(実際にそう言ったのは人間である市長ですが)。
人間が何に寄生しているかと言えば、地球という惑星です。人間は万物の霊長としてほかの動物や自然を支配していますが、その驕りは地球そのものを限りなく破壊するほどのものになっていっているわけで、地球というのが一個の生命体であるならば、人間はそれに寄生する厄介な敵となるわけで、そうした意味で冒頭の言葉は地球そのものが発した言葉としても感じられたわけです。寄生生物が地球の内部から生じるのも、増えすぎた人間を間引きするための地球の意思のようにも映るわけです。
とは言うものの、その寄生生物であるミギーは「わたしは恥ずかしげもなく「地球のために」という人間がきらいだ……なぜなら地球ははじめから笑いもしなければ泣きもしないからな」と語っていますから、地球の安易な擬人化を否定しているようにも感じられますから、そんなに単純なものでもないのかもしれません。
どちらにしても何度読んでも色々と考えさせるところのある漫画であることは間違いないと思いますし、映画版の完結篇ではどんな『寄生獣』を見せてくれるのかが今から楽しみでもあります。
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