『ビートルズを聴こう』 彼らの曲と一緒に何度も読み返したい
2015.05.30 12:28|音楽|
副題に「公式録音全213曲完全ガイド」とあるように、ビートルズの曲のすべてについて語る本です。

『ビートルズを聴こう』と謳っていますし、表紙には「Ticket to The Beatles」と記されていますが、ビートルズ入門篇というわけではなく、それなりにビートルズを知っている人向けの本であると思います。僕はリアルタイムで聴いた世代ではありませんが、若いときに洋楽を聴くようになるきっかけがビートルズでした。最近はさすがにちょっとご無沙汰していたところもあるのですが、ちょうどこの本が出たころポール・マッカートニーが来日したこともあり、ライヴに向けて全アルバムをおさらいしていたこともあって、この本に目が留まりました。
著者のことなど何も知らずに読み始めると、ジョンのボーカルに「失神寸前」などとあって、里中という人物を女性ファンかと勘違いしてしまいました。里中哲彦は翻訳などをしている1959年生まれのおじさんでした。対談相手の遠山修司は1970年生まれのロック研究家だとか。
この本はふたりの対談形式になっていて、それぞれの曲に対して1ページ程度の解説が加えられます。この分量がちょうどいい感じで、1曲1曲に耳を澄ましながら聴くのにぴったりです。だから読み始める(聴き始める)とどうにもやめられなくなって、寝る前にベッドのなかで読み始めたら次の日は寝不足になります。
ビートルズの解説本は多いようです。昔、何かで読んだ知識では、たとえば「I Feel Fine」の冒頭の音は電気系統のトラブルだとされていましたが、現在では意識的につくられたものだとわかっているとのこと(p.297)。それからアルバム『Help!』のジャケット写真は手旗信号でそのスペルを表現したとされていましたが、これも間違いだったらしい(p.94)。ビートルズに関する研究みたいな趣きもあります。
そのほかにもビートルズが革新的だった部分、1曲1曲の聴きどころ、コーラスグループとしての魅力とか、様々の情報が詰め込まれています。知らなかったことや解説を読んで発見した部分も数多くあります。ポールの曲「What You're Doing」はあまり注目したことがなかった曲ですが、妙に気になる曲になりました。
里中氏はジョン・レノンが大好きなようで、ジョンに対する評価は高く、「Twist and Shout」には「圧巻です。ジョンの比類なき声。天下無双にして空前絶後。声それ自体に、こぼれるような魅力がある。生意気で、荒々しくて、セクシー。かつ説得力もある。」(p.30)と手放しの褒めっぷりです。こうした部分も同感ですが、遠山氏はとても冷静に知識を披露しつつも、『ABBEEY ROAD』のB面の解説では「ポールのやる気と創造力がなかったら、ビートルズは『サージェント・ペパー』のあとで解散していたというのは間違いのないところ。そしてリーダー・シップを発揮するポールは、メンバーから辛辣な言葉を浴びせかけられた。ですが、ポールが傷つきながらも楽曲づくりに励んだという事実はやすやすと忘れられてしまった。」(p.249-250)と語っています。このあたりはポールのメドレーを聴きながらだと涙を禁じえません。
実はこの本の前にはこのふたりの著者による『ビートルズの真実』という本も出ているようです。そちらもぜひ読んでみようと思います。
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『ビートルズを聴こう』と謳っていますし、表紙には「Ticket to The Beatles」と記されていますが、ビートルズ入門篇というわけではなく、それなりにビートルズを知っている人向けの本であると思います。僕はリアルタイムで聴いた世代ではありませんが、若いときに洋楽を聴くようになるきっかけがビートルズでした。最近はさすがにちょっとご無沙汰していたところもあるのですが、ちょうどこの本が出たころポール・マッカートニーが来日したこともあり、ライヴに向けて全アルバムをおさらいしていたこともあって、この本に目が留まりました。
著者のことなど何も知らずに読み始めると、ジョンのボーカルに「失神寸前」などとあって、里中という人物を女性ファンかと勘違いしてしまいました。里中哲彦は翻訳などをしている1959年生まれのおじさんでした。対談相手の遠山修司は1970年生まれのロック研究家だとか。
この本はふたりの対談形式になっていて、それぞれの曲に対して1ページ程度の解説が加えられます。この分量がちょうどいい感じで、1曲1曲に耳を澄ましながら聴くのにぴったりです。だから読み始める(聴き始める)とどうにもやめられなくなって、寝る前にベッドのなかで読み始めたら次の日は寝不足になります。
ビートルズの解説本は多いようです。昔、何かで読んだ知識では、たとえば「I Feel Fine」の冒頭の音は電気系統のトラブルだとされていましたが、現在では意識的につくられたものだとわかっているとのこと(p.297)。それからアルバム『Help!』のジャケット写真は手旗信号でそのスペルを表現したとされていましたが、これも間違いだったらしい(p.94)。ビートルズに関する研究みたいな趣きもあります。
そのほかにもビートルズが革新的だった部分、1曲1曲の聴きどころ、コーラスグループとしての魅力とか、様々の情報が詰め込まれています。知らなかったことや解説を読んで発見した部分も数多くあります。ポールの曲「What You're Doing」はあまり注目したことがなかった曲ですが、妙に気になる曲になりました。
里中氏はジョン・レノンが大好きなようで、ジョンに対する評価は高く、「Twist and Shout」には「圧巻です。ジョンの比類なき声。天下無双にして空前絶後。声それ自体に、こぼれるような魅力がある。生意気で、荒々しくて、セクシー。かつ説得力もある。」(p.30)と手放しの褒めっぷりです。こうした部分も同感ですが、遠山氏はとても冷静に知識を披露しつつも、『ABBEEY ROAD』のB面の解説では「ポールのやる気と創造力がなかったら、ビートルズは『サージェント・ペパー』のあとで解散していたというのは間違いのないところ。そしてリーダー・シップを発揮するポールは、メンバーから辛辣な言葉を浴びせかけられた。ですが、ポールが傷つきながらも楽曲づくりに励んだという事実はやすやすと忘れられてしまった。」(p.249-250)と語っています。このあたりはポールのメドレーを聴きながらだと涙を禁じえません。
実はこの本の前にはこのふたりの著者による『ビートルズの真実』という本も出ているようです。そちらもぜひ読んでみようと思います。
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