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『オオカミ少女はいなかった』 心理学におけるガラクタ掃除

2015.07.27 00:14|その他
 心理学は何となく胡散臭いものと感じられるところがあります。実際は否定されているにも関わらず何度も甦ってくる「神話」みたいなものがたくさんあるからです。この本は当の心理学者(鈴木光太郎)がそんなガラクタ掃除を試みたものです。
 軽い読み物ふうの題名となっていますが、中身は学術書寄りの部分もあるのかもしれません。参考文献が多数挙げられていますし、原典を当たることが大切だということを何度も述べていますし……。

増補 オオカミ少女はいなかった: スキャンダラスな心理学 (ちくま文庫)


  僕は「サブリミナル効果」に関しては、不勉強もあって何となくそんな効果があるものと信じていたのですが、どうやら実験自体があやしいものとのこと。ただ、マス・メディアが騒ぎ出して自主規制なんかに走ったりしたものだから、その効果を確認する方向には進まずに、危なっかしい「神話」みたいなものになってしまったようです。一度火がつくとそれを消そうと思っても如何ともしがたくなってしまうようです。
 ただ、そうした「神話」も人々の直観にはまっているからというところもあります。たとえば「なぜ母親は赤ちゃんを左胸で抱くか」という部分では、母親の約8割が赤ちゃんを左胸に抱くという事実に関して触れられています。絵画の聖母子像などを調べても約8割が左胸に赤ちゃんを抱いているそうです(僕はそれすら知りませんでしたが)。こうした事実に関してソークという心理学者が唱えた説は「心音説」というものです。赤ちゃんは胎内で心臓の音を聴いていたから、生まれてからも心臓に近い位置に頭を持っていきたがるというものです。
 これは厳密に言えば実験等で確認できた説ではないということですが、何となく直観的には腑に落ちるものがあるからか、未だに俗説としては広まっているようです。人が感じる直観もあてになる場合とそうでない場合があるのかもしれません。この本のなかでは「なぜ母親は赤ちゃんを左胸で抱くか」ということに対する答えは出ていません。未だ信用に足るような答えを心理学やそのほかの学問も出せていないのです。
 そのほかの題材もその説の胡散臭さに関しては示されますが、はっきりとした答えが提示されるわけではないところが学問的な厳密さということなのかもしれません。有名な「オオカミ少女」の話に関しても、かなり捏造が入っているようですが、真相はあくまでも推測で語られるくらいで、読み物としてはモヤモヤ感が残るかもしれません。

 第8章は心理学の世界では有名なジョン・ワトソンの話になっています。ワトソンについては、学生時代に心理学の授業で習いました。僕の通っていた大学は行動主義心理学の先生が多かったようで、ワトソンの名前も何となく聞き覚えていました。彼は行動主義心理学の始祖とされ、アメリカの心理学学会の会長も務めた人物です。心理学の教科書には必ず彼の名前が載っています。しかし、そんなワトソンもその後は色々とあったらしく、学生との不倫といったスキャンダルもあって、42歳で学会を去ることになったようです。その後のワトソンが広告業界でも成功していたという事実は、この本の主旨とはズレますが「人生いろいろ」といった感じでおもしろいエピソードでした。
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